環境ファシズム?

楳図かずおさんさん宅、外観異様と近隣住民が建築差し止め申請(読売新聞 - 08月01日 21:32) という記事を読んでのコメント。
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=265625&media_id=20 参照のこと。

TVのニュースのなかで、差し止め請求を行った住民代表のコメントが報道された。
「これによって、私の心の中まで、赤と白のストライプが引かれるようで、これは色彩の暴力である。」という主旨の発言をしていた。
TVは、周辺の住宅を映していたが、何の変哲もない、資金さえかければ大量生産できるような代物であった。
別のワイドショーでは、「住宅の上のほうに付いたまことちゃんの目の部分が窓になっていて、楳図さんが覗いていると思うと怖い」という主旨の発言をしている場面もあった。
「心の中」とか、「怖い」といった心理的表現が気になった。神経過敏の神経症的症状のように思われたのである。

グワシ!!まことちゃん楳図かずおワールド

グワシ!!まことちゃん楳図かずおワールド

基本的に、個人の住宅は、どのような塗装が施されようと自由である。(武蔵野市には、景観保全のために建造物の仕様を規制する条例もないとのこと。)
景観保全が問題となるのは、文化的な価値のある古い街並みとったもので、公共の福祉に照らしあわされてのことである。とはいえ、これもまた範囲を広げすぎると、個人の人権の侵害にあたる。
今回のケースは、高級住宅かは知らないが、所詮、文化的価値のない大量生産品にすぎない比較的最近の住宅であり、骨董品的価値も、歴史的資料としての価値もないものである。
結局、提訴した住民が守ろうとしているものは、あまりにも偏狭なエゴに過ぎないのではないか。
赤と白のストライプ、結構ではないか。
大量生産品としての高級住宅と、赤と白のストライプという天才的な構想で造られた住宅と、どちらが文化的価値があるというのか。
後者を弾圧されてしかるべしと考える精神構造とは何か。
これは環境ファシズムであり、無難で凡庸な生活がいいという日本的なシステムが心のなかで作動したからに他ならない。
この日本的なシステムは、エキセントリックな人物やモノが出現すると、途端に本性を現し、排除を始める。
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「暴力」という名前に値するのは、どちらだ。
単に自分の敷地内で、自分の持ち物に色を塗るだけの行為が「暴力」なのか。それとも、全員一致で集団の力を使い、一人に悪のレッテルを貼り、排除しようとする神経症的な日本というシステムなのか。
答えは簡単だろう。