煉獄の彼方へ (music:Yuki Ukawa)

「エロティシズムは、死に至るまでの生の称揚である」(ジョルジュ・バタイユ)という言葉通りに、「煉獄の彼方へ」は<禁制>と<侵犯>がせめぎ合う究極の愛の世界を描き­出します。
愛が至純であるだけ、世間に背を向けたものとなり(共同幻想に逆立する対幻想の構造)、悪に接近してゆきます。その果てにあるのは、意識が停止する死の地点です。
しかしながら、愛は同時に、死を意識して燃え上がる、岡本太郎的には「爆発する」ものです。(笠井潔的に表現すると、共同観念―吉本隆明の「共同幻想」に該当する笠井のタ­ーム―が、集合観念というかたちで燃え上がり、廃滅することによって、観念の観念による浄化が行われるということになります。)ちなみに、バタイユ岡本太郎は盟友であり­、同じ世界観を共有しています。
「煉獄の彼方へ」の世界は、生命を炸裂させる方向に持っていこうとしています。
恋愛は(戸川純的に「怒涛の恋愛」といった方が、ニュアンスが正しく伝わるかも知れません。文明化された、飼いならされた恋愛とは異なります。)生命の炸裂の契機となりう­るものです。
生命の炸裂―その契機となりうるものには、革命や芸術もあります。
端的に言えば、「煉獄の彼方へ」は、究極の生命肯定の曲なのです。

曲名:煉獄の彼方へ (music:Yuki Ukawa)
作詞:Tadao Harada
作曲:Yuki Ukawa
編曲:Yuki Ukawa

命の限り君のすべてを
愛の奇蹟が 許されないなら
生きのびよう 何度でも
狂おしい想いで

君との出逢いが 悲劇だとは
思いたくない 思わせたくない
人ごみ 隠した ふたりの 過去を
君と二人ならば 逃げてゆけるさ

たとえ 地の果て 奈落の底まで
君を愛し続けて 生きてゆこう
見えない未来も
君となら怖くない

たとえ 火の海 地獄絵図でも
世界を敵にしても 君を守り抜こう
灰色の虚無を 君が終わらせる
見えない未来も 君となら怖くない

涙がとめどなく流れ すべてを
洗い流しても 君を愛し続けて
生きてゆこう ここにいる意味が
君のおかげで確かになるから