荒野のヒーロー
荒野のヒーロー (music:Goronyan)
この音楽のテーマは、「街の至るところに監視カメラがセットされ、私たちは絶えず見られている」、そういったなかで、如何に自由が可能か、ということにある。
「情報自由論」(『情報環境論集 東浩紀コレクションS』講談社BOXに収録)で、東浩紀は、フーコーが『監獄の誕生』でパノプティコンを例に語った「規律訓練型権力」に対して、ドゥルーズの『記号と事件』にヒントを得ながら「環境管理型権力」という概念を編み出している。
東によると、1990年代の情報技術革命以降、私たちの社会はセキュリティー意識と情報技術の結合により、住基ネット、Nシステム、カーニボー、スニッファ、バイオメトリクス......等が生み出され、「自由を奪う」方向に向かっているという。
例えば、あなたは、今、コンピュータ端末から、このサイトにアクセスしているわけだが、そのアクセスログは残る。このサイトの運営会社は、あなたのIPアドレスを、蓄積されたデータベースとして管理している。これは、すべてのサイトで行われていることである。
さらには、TwitterやFacebook等で、個人的な信条を集る。仮に、国家があなたに関心を持ち、あなたの情報を知ろうとするのならば、これらのネット上の情報を統合すれば、プライバシーは丸裸にされるだろう。
「荒野のヒーロー」は、ネット監視社会に現れた最期のアウトローなのである。彼の使命は、すべての自由が奪われ、零と一からなるコンピュータの電気信号に還元された世界から、「愛」を救いだそうとする。なぜなら、すべてが暴露され、私的な部分が侵された世界においては、自発的な「愛」など考えられないからである。
「荒野のヒーロー」による「愛」の救済が成功するかはわからない。それは、この音楽を聴く人、一人一人にかかっているからである。あなたが、世界を覆い尽くす全システムを敵に廻して、「荒野のヒーロー」に変身することがなければ、やがて地上から「愛」は消える運命にある。
作詞者 原田忠男
作曲者 藤島五郎
編曲者 藤島五郎
街角のスキャナー
君の心は覗かれてるね
立ち止まることを忘れて
何かに追い立てられてるよに
君は潤い 忘れて
大事な愛 忘れかけてる
俺はギャングスター 俺は言語スター
機械仕掛けの都市(まち)
俺は流離うヒーロー
魂だけは売り渡しちゃいけないぜ
Baby Baby Love You
愛してるって想い出しておくれ(×2)
決められた未来
君の道は閉ざされているね
時計に追われて
誰かに追い抜かれるのを恐れて
君は笑いを忘れて
大事な心 忘れかけてる、
リンゴスター? (No、No、No)
言語スター
自由なき荒野の中
俺は戦うヒーロー
可能性だけは信じてるぜ
Baby Baby Love You
愛してるって想い出しておくれ(×4)