『僕の叔父さん 網野善彦』を読む
現在、中沢新一による『僕の叔父さん 網野善彦』を読み終えたところです。思想書でありながら、読んだあとにじーんと心に染みてくるのは、この文章が追悼文が発展してできたからでしょうか。網野さんとの初めての出会いから、トランセンデンタルなものへの異様な関心を持つ中沢家の人々との議論から、前人未到の新しい史学が誕生してゆく過程がえがかれてゆきます。
![僕の叔父さん 網野善彦 (集英社新書) 僕の叔父さん 網野善彦 (集英社新書)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/11KXZ5QWNHL._SL160_.jpg)
- 作者: 中沢新一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/11/01
- メディア: 新書
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(1)1968年1月中沢新一の父厚は、佐世保に入港するエンタープライズを阻止しようとして、反代々木系の学生と労働者がヘルメットと角材で武装して、機動隊ともみ合うニュース映像を眼にします。ここで、中沢厚は、学生と労働者がとった過激な行動、投石に心を奪われます。この投石は、厚に子供の頃の危険な遊びを思い出させます。そして、探求の結果、民俗学でいう「菖蒲切り」であることをつきとめます。この話を妹の結婚した相手にあたる網野善彦に話すと、網野は中世の飛礫(つぶて)を連想し、それが悪党といわれる人の闘い方であると言います。網野は、その後、飛礫(つぶて)による石戦の歴史の研究を行い、それが人類の原始の野生にまで根を下ろした深いものであるがわかってゆきます。この研究が『蒙古襲来』に実を結んでゆきます。
![蒙古襲来―転換する社会 (小学館文庫) 蒙古襲来―転換する社会 (小学館文庫)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51J3334FVAL._SL160_.jpg)
- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/12/01
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無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 (平凡社ライブラリー (150))
- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 平凡社
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![異形の王権 (平凡社ライブラリー) 異形の王権 (平凡社ライブラリー)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/511JNdz4cgL._SL160_.jpg)
- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1993/06/01
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