2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

杉澤鷹里著『射玉行』を読む

杉澤鷹里著『射玉行』は、決定的に新しいスタイルで書かれた小説である。 著者は、「笠井潔さんを父と仰ぎ、竹本健治さんを母と慕う」(http://haruka.fool.jp/cgi/bbs2/light.cgi 投稿日:2005/09/27(Tue) 14:37参照)と書いているが、この小説はミステリで…

『ともだち刑』における実存的な欲望

雨宮処凛の小説の主人公は、常に誰かに評価され、かけがえのない存在として、世界に受け入れられたいという実存的な欲求を抱えている。 『ともだち刑』の主人公浜田もまた、そういう欲求をかかえた学生である。 ともだち刑作者: 雨宮処凛出版社/メーカー: 講…

「降りる自由」は存在しない〜 『波状言論S改』について

東浩紀編著『波状言論S改〜社会学・メタゲーム・自由』について考えてみよう。この本は、東浩紀+鈴木謙介が聞き役であり、「第一章 脱政治化から再政治化へ」のゲストは宮台真司、「第二章 リベラリズムと動物化のあいだで」のゲストは北田暁大、「第三章 …

『マルチチュード ~時代の戦争と民主主義』

マルチチュードとはなにか。 時代の戦争と民主主義 (NHKブックス)" title="マルチチュード 上 ~時代の戦争と民主主義 (NHKブックス)">マルチチュード 上 ~時代の戦争と民主主義 (NHKブックス)作者: アントニオ・ネグリ,マイケル・ハート,幾島幸子出版社/メー…

カール・ヤスパースについて

文庫で読めるカール・ヤスパースの本というと、『哲学入門』(草薙正夫訳、新潮文庫)があるが、これにしても最近、品切れ状態のようである。 ヤスパースは、ドイツのキリスト教的実存主義者。とはいえ、彼の哲学は、「哲学すること」の基本的なあり方を明か…

ケイト・ブッシュ『エアリアル』

ケイト・ブッシュの12年ぶりの新作は『エアリアル』。初の2枚組である。エアリアルアーティスト: ケイト・ブッシュ出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン発売日: 2005/11/02メディア: CD クリック: 12回この商品を含むブログ (39件) を見る 前作の…