2007-01-01から1年間の記事一覧

『超越意識の探求〜自己実現のための意識獲得法』

コリン・ウィルソンの膨大な著作のなかで、おそらくは特に重要な部類に入るであろう『超越意識の探求〜自己実現のための意識獲得法』(学研)が刊行された。 超越意識の探求―自己実現のための意識獲得法作者: コリンウィルソン,Colin Wilson,松田和也出版社/…

『探偵小説の論理学』

探偵小説の論理学 ラッセル論理学とクイーン、笠井潔、西尾維新の探偵小 [ 小森健太朗 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 文学 > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 2,592円 本書の議論の前提となるのは(1)柄谷行人による「ゲー…

推薦書 〜新しい経済学のための

◆雨宮処凛著『生きさせろ! 〜難民化する若者たち』(太田出版) 生きさせろ! 難民化する若者たち作者: 雨宮処凛出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2007/03/13メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 104回この商品を含むブログ (141件) を見る※本書で雨宮は…

『脳子の恋』

人が芸術家に変貌するのは、模倣を通してであると、かつて倉橋由美子のエッセイで教えられたが、そのジャンルの継承者は、そのジャンルの作品の過剰摂取を通して、そのジャンル固有の財産(享受する側をうならせるツボ、固有の表現方法など)を継承してゆく…

環境ファシズム?

■楳図かずおさんさん宅、外観異様と近隣住民が建築差し止め申請(読売新聞 - 08月01日 21:32) という記事を読んでのコメント。 http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=265625&media_id=20 参照のこと。TVのニュースのなかで、差し止め請求を行った住民代表の…

『死想の血統〜ゴシック・ロリータの系譜学』

樋口ヒロユキ著『死想の血統〜ゴシック・ロリータの系譜学』は、ゴシック・ロリータの擁護の書である。何からの擁護か。それは、今なお残るゴス・カルチャーへの社会的偏見(これは河内長野家族殺傷事件後のマスコミの動きにおいて顕在化したと著者は見る)…

アレクセイ氏からの手紙

本日、アレクセイ氏からメールが届きました。 ご存知ない方に説明しておきますと、ついこの前までマイミクで、現在、プロテクトをかけている方です。 なぜ、このようなことになったのかといえば、ここの日記のバックナンバーを読んでいただければ判ると思い…

『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』を読む(2)

『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』の論考が進まないままに、中沢新一著『ミクロコスモス I』および『ミクロコスモス II』(四季社)http://www.cloverbooks.com/mikrokozmosz/mikrocozmosz.html の方に話題は移りつつあるのだが、この機会…

アッタレーア・プリンケプス

中学校の頃、国語の授業で、「これまで読んだ本の中で、印象に残った本を挙げてください」と先生から指名を受けて、「ゲーテの『ファウスト』と、ガルシンの『アッタレーア・プリンケプス』」といったことがあり、前者は先生も知っていたのですが、後者はご…

『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズム』を読む(1)

【序論】 島田裕巳著『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズム』(亜紀書房)を読み終えました。 批判の根拠となっている中心的な資料は、『宝島30』の記事でした。 (1)『宝島30』1996年1月号「僕と中沢新一さんのサリン事件」より、オウム脱会…

『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズム』

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=16741227&comment_count=3&comm_id=446658 からの再録です。シンポジウムここでは、次のようなテーマで議論を深めてゆく場としたいと考えています。 ・ゾクチェン、あるいはニンマ派について ・チベット密教について ・仏教、…

ある転落の記録

(1)砂上の楼閣 [事実確認1] アレクセイ氏との意見対立は、「討論・笠井潔について」 http://homepage2.nifty.com/aleksey/LIBRA/kasai_giron_1.html の頃からありました。 「虚無なる「匣の中の匣」」という掲示板には、2004/10/29に書かれた「討論・笠…

後続の走者 II

アレクセイさま おっしゃる通り、私はアレクセイさまの書かれた竹本健治著『狂い咲く薔薇を君に 牧場智久の雑役』のレビューを、『キララ、探偵す。』刊行前に読んでおります。 アレクセイさまの書かれた『狂い咲く薔薇を君に 牧場智久の雑役』のレビューに…

後続の走者

某国立大の理系の院生から、指導教官のもとで論文を書いて、いい出来であると、指導教官が自分の名前に書き換えて、学会に論文を提出してしまうという話を聞いた事がある。指導教官の研究成果を踏まえ、指導教官のメソッドを使って、研究を推し進めたという…

『テロルの現象学』について

アレクセイこと田中幸一氏との論戦は、次のような経過から始まった。 (1)ミクシィで、2007年02月01日 00:16に私が書いた竹本健治氏の小説『キララ、探偵す。』のレビュー中に、53ページの「かくかくしかじか」から、作者のメタ・フィクション指向を指摘す…

齟齬の根底にあるもの

アレクセイさんには、いままで恩義がありますので、私の文章で、不快な思いをさせたとすれば、大変申し訳なく思います。 ただ、アレクセイさんの私に対する理解には、相当な誤解があるように思います。 私はアレクセイさんの反権力的で、一匹狼的なスタイル…

まだまだ幸せ者だと思わなくては

アレクセイ氏の「よだれに塗れた、おもちゃの勲章 ―― はらぴょん論・序説」(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=351850005&owner_id=491648 でのコメント参照)を読みました。この文章は、私にとって痛い文章ですが、そうであるがゆえに、深い厚情を感じずに…

「批評におけるパラダイムの混在」に激怒した田中幸一氏に答える

私の理解することころでは、アレクセイ氏は、「批評におけるパラダイムの混在」http://mixi.jp/view_diary.pl?id=347184234&owner_id=491648で私が提示した分類、すなわち 1.現象学・実存主義のパラダイム 2.構造主義のパラダイム 3.文化記号論のパラ…

批評におけるパラダイムの混在

一体、何がいいたいのか、私にはわからない。 なぜ、文化記号論者とポスト構造主義者が、並列に並べられるのか、私にはさっぱりわからない。 どっちかが上位の価値基準で、もう片一方が下位の価値基準ならばわかる。しかし、並列に、対等の立場で並んでいる…

『キララ、探偵す。』

竹本健治著『キララ、探偵す。』(文藝春秋)は、主人公の乙島侑平のもとに、母方の従兄にあたる益子隆太郎博士から、モニタリングのためにメイド型の美少女ロボットのキララが送られてくるというところから始まる。このキララは、特定部位に接触すると、別…

『天帝のはしたなき果実』

『天帝のはしたなき果実』というタイトルは、勿論『虚無への供物』の作者が自らに課した戒め「小説は天帝に捧げる果物、一行でも腐っていてはならない。」に由来するものであることは間違いない。この本を開くと、冒頭に『虚無への供物』の登場人物奈々村久…