2005-12-01から1ヶ月間の記事一覧

眼が悪い〜『清涼院流水のぶらんでぃっしゅ?』に関する妄言

清涼院流水著『清涼院流水のぶらんでぃっしゅ?Special Guest 森博嗣 西尾維新 飯野賢治』(幻冬舎)について考えてみよう。 ・今回の執筆は、清涼院流水氏の第一子誕生の時期と重なったこともあって、この物語の主人公常盤ナイトの胎児の時期から始まり、出産…

聖体示現(ヒエロファニー)としてのミステリ

本格ミステリのトリックを分類してゆくと、密室殺人、顔のない死体、暗号、一人二役、意外な犯人……といったものが挙げられる。(より詳しく知りたい方は、乱歩の『続・幻影城』や間羊太郎の『ミステリ百科事典』を参照されたし。) 密室殺人の場合、より完璧に…

『探偵小説と二〇世紀精神』

笠井潔の『探偵小説と二〇世紀精神〜ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つか?』は、前半が「1 形式体系と探偵小説ロジック」、後半が「第三の波とポストモダニズム」となっている。 前半は法月綸太郎の言う<後期クイーン的問題>に呼応した内容を扱っており、…

『アワーミュージック』、あるいは戦争の時代を超えて

ジャン=リュック・ゴダール監督作品『アワーミュージック(原題:Notre Musique)』のテーマは、戦争と分裂の時代にあって、わたしたちは世界中を包み込むわたしたちの音楽のような愛と調和を創造することができるかということに尽きる。 この作品は、三部…