現代を読み解くための推薦ブックリスト ~「薔薇十字制作室」アーカイヴ

※私のホームページ「薔薇十字制作室」

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書影を愉しみたい方は、以下をご覧ください。

harapion.tumblr.com

 

シュルレアリスム(超現実主義)関連 一部ダダイズム未来派

シュルレアリスムの概説書>
パトリック・ワルドベルク『シュルレアリスム』(河出文庫)、巌谷國士シュルレアリスムとはなにか』(ちくま学芸文庫

アンドレブルトンの作品>
シュルレアリスムの総帥。フロイト精神分析学の影響を受け、潜在意識(無意識)の世界を探求。
文学・哲学思想はもとより、20世紀の芸術全般に影響を与えた。
文学の世界では、自動速記法(オートマティズム)を導入し、理性の検閲なしに無意識が現れることをもくろんだ。
その後、トロツキズムに接近。無意識の根底からの永久革命を模索。
『超現実主義宣言』(中公文庫・生田耕作訳)、『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』(岩波文庫巌谷國士訳)、『ナジャ』(白水社Uブックス・岩波文庫)、『シュルレアリスム簡略辞典』(現代思潮社ポール・エリュアールとの共編)、『超現実主義とはなにか』(思潮社)

マックス・エルンストの作品>
コラージュを用いた作品で、絵画におけるシュルレアリスムをリードする存在であった。
『百頭女』(河出文庫)、『カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢』(河出文庫)、『慈善週間 または七大元素』(河出文庫

ルイ・アラゴンの作品>
シュルレアリスト・グループの一員であったが、その後コミュニストに転向。運動を離脱。
『イレーヌ』(白水社Uブックス)

<アントナン・アルトーの作品>

シュルレアリスム宣言第三号までシュルレアリスム・グループとともに行動したが、その後完全な狂気の世界に入る。シュルレアリスムを超えてしまった人であり、その極限の思考は寺山修司ドゥルーズ=ガタリにも影響を与えている。
ヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト』(白水社Uブックス)、『神の裁きと訣別するため』
【カセットブック】(ペヨトル工房・絶版)、『ヴァン・ゴッホ~社会に殺された者』(ちくま学芸文庫

ルネ・ドーマルの作品>
シュルレアリスム系の「大いなる賭け」グループに所属。グルジェフの影響を受けて書かれた『類推の山』は澁澤が愛した形而上学的登山小説であり、後にホドロフスキー監督による『ホーリー・マウンテン』の原作ともなった。
『類推の山』(河出文庫

ロートレアモン伯爵(本名イジドール・デュカス)の作品>

シュルレアリスムの先駆者。『マルドロールの歌』は、シュルレアリストのバイブルとなった。「ミシンと洋傘の手術台のうえの、不意の出逢いのように美しい」のくだりはあまりにも有名。
『マルドロールの歌』(角川文庫・絶版)、『マルドロールの歌』(集英社文庫)、『ロートレアモン全集』(ちくま文庫

マルキ・ド・サドの作品>
ロートレアモンと並ぶシュルレアリストのバイブル。人類史上最大の悪書として、20世紀のシュルレアリストサルトルボーヴォワールカミュモーリス・ブランショフーコーらの評論で思想小説としての復活を遂げた。
悪徳の栄え(上・下)』(現代思潮社澁澤龍彦訳・現在下巻についても無削除版が出ている)、『悪徳の栄え』(角川文庫・絶版・澁澤龍彦訳/河出文庫・全2冊)、『美徳の不幸』(角川文庫・絶版・澁澤龍彦訳/河出文庫)、『ジュスティーヌあるいは美徳の不運』(岩波文庫・全訳版)、『新ジュスティーヌ』(河出文庫澁澤龍彦訳)、『恋のかけひき』(角川文庫・絶版・澁澤龍彦訳)、『恋の罪』(岩波文庫)、『食人国旅行記』(河出文庫澁澤龍彦訳)、『閨房哲学』(角川文庫・絶版・澁澤龍彦訳/河出文庫)、『ソドム百二十日』(角川文庫・絶版・澁澤龍彦訳/河出文庫)、『サド侯爵の手紙』(澁澤龍彦著・ちくま文庫)、『ジュスチーヌまたは美徳の不幸』(岩波文
庫)、『恋の罪』(岩波文庫

<J・K・ユイスマンスの作品>
自然主義文学に属するが、エミール・ゾラと異なり、デカダンス・オカルト・反世界・神秘に関心が向いた作品を発表。
『彼方』(創元推理文庫)、『さかしま』(河出文庫澁澤龍彦訳)

シャルル・フーリエの作品>
空想的社会主義者に分類できるが、その構想はシュルレアリスティックであり、(正常/異常)の二項対立がきっちりとできているサドやバタイユのプレ・モダン・モデルより現代的である。フーリエにおいては、異常な逸脱が尊重され、逸脱の逸脱によって、次第に強度をもった空間に突入してゆくからである。
シャルル・フーリエ『四運動の理論』(現代思潮新社・全2巻)、『愛の新世界』(作品社)

<ギョーム・アポリネールの作品>
『アルコール』や『カリグラム』の詩人は、シュルレアリスムの先駆者であり、ピカソとも交流があり、「キュビズムの画家たち」も書いているアヴァンギャルドであった。
ギョーム・アポリネール『虐殺された詩人』(講談社文庫・絶版)、ギョーム・アポリネール『異端教祖株式会社』(講談社文庫・絶版)、ギョーム・アポリネールアポリネール詩集』(新潮文庫)、『一万一千本の鞭』(角川文庫・絶版)、『若きドン・ジュアンの冒険』(角川文庫・絶版)

アレフレッド・ジャリの作品>
ダダイズム系の作家。
アレフレッド・ジャリ『超男性』(白水社Uブックス・澁澤龍彦訳)

ロジェ・カイヨワの作品>

バタイユらとともに<社会学研究会>を結成。文化における遊びの重要性に注目。
『妖精物語からSFへ』(サンリオSF文庫・絶版)

<A・P・ド・マンディアルグの作品>

『満潮』(奢覇都館/牧神社)、『黒い美術館』(白水社Uブックス)、『城の中のイギリス人』(白水社Uブックス、澁澤龍彦訳)、『ボマルツォの怪物』(河出文庫澁澤龍彦訳)


神秘主義関連と宗教学全般

<神秘学(隠秘学)一般>
ここでは荒俣宏の概説書と笠井叡の秘教的な著作を挙げておこう。
荒俣宏編『世界神秘学事典』(平河出版社・絶版)、荒俣宏『本朝幻想文學縁起』(工作舎集英社文庫)、荒俣宏『99万年の叡智』(平河出版社・絶版)、荒俣宏鎌田東二編『神秘学カタログ』(河出書房新社)、笠井叡『天使論』(現代思潮社

<ヨーハン・ヴァレンティン・アンドレーエの作品>
クリスティアンローゼンクロイツにまつわる薔薇十字団伝説の元となった薔薇十字基本四文書(『全世界の普遍的かつ総体的改革』『薔薇十字団の名声(ファーマ)』『薔薇十字団の信条告白(コンフェッシオ)』『クリスティアンローゼンクロイツ化学の結婚』)を収録する。
化学の結婚』(紀伊國屋書店種村季弘訳・函入り)

<ルドルフ・シュタイナーの作品>
ゲーテ学者であり、ニーチェ学者でもあったシュタイナーは、霊視能力があり、そのことをひた隠しにしてきたが、マダム・ブラバツキーの神智学会に出会い、霊能力を開花、その後独立して人智学を唱える。その考えは、単に神秘思想にとどまらず、教育・医学・農業・建築・社会運動(制度と しては民主主義、精神活動には自由主義、経済政策としては社会主義という三層化運動)にも影響を及ぼす。だが、人智学協会の本部ゲーテアヌムをナチスに焼き討ちされ、絶望のうちに死ぬ。
『第五福音書』、『血はまったく特製のジュースだ』、『オイリュトミー芸術』(イザラ書房)、『神智学』、『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』、『神秘学概論』(以上、イザラ書房/ちくまちくま学芸文庫)、『自由の哲学』『オカルト生理学』『治療教育講義』『シュタイナーの死者の書』(ちくま学芸文庫)、『魂のこよみ』(ちくま文庫)、『薔薇十字会の神智学』、『秘儀参入の道』(以上、平河出版社)、『アーカーシャ年代記より』、『いかにカルマは作用するか』、『人智学・神秘主義・仏教』(人智学出版社)、『仏陀からキリストへ』(書肆・風の薔薇)、『教育術』(みすず書房)

<ヘルマン・ベックの作品>
仏教学者。シュタイナー思想に共鳴し、人智学運動に加わる。
『仏教』(岩波文庫)、『インドの叡智とキリスト教』、『秘儀の世界から』(以上、平河出版社)

<G・I・グルジェフの作品>

ロシア最大のオカルティスト。<人間は機械である>として、そこから脱出する第四の道があるとして、独自のワークを行うスクールを、ウスペンスキーらと設立。
その思想は、コリン・ウィルソンや、現代のトランスパーソナル心理学にも影響を与えている。
『ベルゼブブの孫への話』(平河出版社)、『注目すべき人々との出会い』(めるくまーる社)、『生は<私が存在し>初めて真実となる』(平河出版社)

<P・D・ウスペンスキーの作品>
東方的グノーシス主義の形態である高次元思想を展開。また、グルジェフのシステムを明快に体系づけたことでも知られる。
『ターシャム・オルガヌム第三の思考規範~世界の謎への鍵』(コスモス・ライブラリー)、『奇蹟を求めて』(平河出版社)

<アレイスタ・クロウリーの作品>
英国黄金の暁会(ゴールデン・ドーン)を離脱後、魔術結社銀の星を設立。ヨーガなども取り入れた儀礼魔術を追求し、二十世紀最大の魔術師と呼ばれるようになる。
『法の書』を新しいテレマとする反キリスト教的言動により、黒魔術師・食人鬼などの風評が立つ。
『魔術~理論と実践』(国書刊行会・全2巻)、『トートの書』(国書刊行会)、『777の書』(国書刊行会)、『法の書』(国書刊行会)、『ムーン・チャイルド』(創元推理文庫)、『黒魔術の娘』(創元推理文庫)

<W・B・イエイツの作品>
英国黄金の暁会に所属。詩人。ノーベル文学賞受賞。
『幻想録』(ちくま学芸文庫)

イスラエル・リガルディーの作品>
英国黄金の暁会(ゴールデン・ドーン)で行われていた全儀礼魔術を暴露する『黄金の夜明け魔術全書』を発表することにより、黄金の暁会を解散に追い込んだ。但し、彼のこの行為がなかったら、今日黄金の暁会は世に知られることなく終わっていただろう。リガルディーはユングライヒの心理学に通じたカイロプラティックの治療師でもあった。
黄金の夜明け魔術全書』(国書刊行会)、『柘榴の園』(国書刊行会)、『召喚魔術』(国書刊行会)

<ダイアン・フォーチュンの作品>
元英国黄金の暁会(ゴールデン・ドーン)の会員であり、その後通信教育による魔術学習を取り入れた「内光教会」を設立する。
『神秘的カバラ』(国書刊行会)、『心霊的自己防衛』(国書刊行会)

<W・E・バトラーの作品>
「内光教会」の分派「光の侍従団」を設立。
『魔法入門』(角川文庫・絶版)、『魔法修行』(平河出版社)

<フランシス・キングの作品>
イギリスの魔術研究家。黄金の暁会について詳しい。
『飛翔する巻物(編)』(国書刊行会)、『英国魔術結社の興亡』(国書刊行会)、『性魔術の世界』(国書刊行会)、『魔術』(澁澤龍彦訳・平凡社

<鎌田東二の作品>
神道霊学の研究者であり、スサノオ出口王仁三郎宮沢賢治・シュタイナーにも造詣が深い。
ミュージシャンとして「神道ソング」の作詞・作曲・実演も行っている。
『身体の宇宙誌』、『聖なる場所の記憶』(以上、講談社学術文庫)、『神界のフィールドワーク』
ちくま学芸文庫

<小松和彦の作品>
構造人類学の成果をもとに日本民俗学を書き換えようとしている気鋭の学者であり、日本の怪異・妖怪伝承データベースの作成にもかかわった。四国のいざなぎ流の呪祖法の研究で有名。
『憑霊信仰論』(講談社学術文庫)、『他界への冒険~失われた鬼を求めて(立松和平との対談)』、『日本の呪い~「闇の心性」が生み出す文化とは』、『鬼がつくった国・日本(内藤正敏との共著)』(光文社文庫)、『神々の精神史』、『新編・鬼の玉手箱~外部性の民俗学』(福武文庫)、『悪霊論』、『異人論』(ちくま学芸文庫)、『妖怪草紙(荒俣宏との対談)』(学研M文庫)、『日本異界絵巻(宮田登鎌田東二南伸坊との共著)』(ちくま文庫)、『日本妖怪異聞録』(小学館ライブラリー

<鶴岡真弓の作品>
ケルト美術史の研究で知られている。ケルト特有の渦巻きや螺旋の文様に、高い精神性を発見している。
鶴岡真弓ケルト/装飾的思考』(ちくま学芸文庫)

<ミルチャ・エリアーデの作品>
ルーマニア宗教学者。聖俗理論をもとに、人類の全宗教活動を統一的に把握しようとする。
『ホーニヒベルガー博士の秘密』(福武文庫)、『聖と俗』(法政大学出版局)、『世界宗教史』(ちくま学芸文庫・全8巻)、『エリアーデ世界宗教事典』(せりか書房・ヨアン・P・クリアーノとの共編)、『19本の薔薇』(作品社)

<ウィリアム・ブレイクの作品>
詩人・版画家。生命力に満ちた神秘的な作風で知られる。大江健三郎コリン・ウィルソンも、ブレイクのファンである。
『無心の歌、有心の歌』(角川文庫・中沢新一解説)

<マイスター・エックハルトの作品>
キリスト教神秘主義を語る上で、最重要人物といえる。
エックハルト説教集』(岩波文庫)、『神の慰めの書』(講談社学術文庫)

<クリストファー・マッキントッシュの作品>
薔薇十字団の研究で知られる。
『薔薇十字団』(平凡社コリン・ウィルソン序文/ちくま学芸文庫

<ジョーゼフ・キャンベルの作品>
神話学者。彼の探求した英雄神話等は、「スター・ウォーズ」作製のヒントになった。
ジョーゼフ・キャンベル選集(I時を越える神話、II生きるよすがとしての神話、III野に雁の飛ぶとき)(角川書店

<キリスト教・聖書考古学研究>
死海文書とナグ・ハマディ文書は、20世紀の聖書考古学上の最大の発見物といえる。
死海文書は、キリスト教の起源とエッセネ派の関係を明らかにする文書である。問題は、マルコ・マタイ・ルカの共観福音書(共通部分のある福音書)の共通の元データ(Q資料)が、死海文書に含まれるか、否か、である。含まれるならば、キリスト教は、エッセネ派から段階的に発展してきた思想であり、イエスをもって突如地上に出現したという虚構が崩れることになる。
ナグ・ハマディ文書は、新プラトニズムによって異端視され、歴史から抹殺されたグノーシス派の原典として重要である。蛇足を付け加えれば、グノーシス派の反宇宙的二元論は、ユング派によって評価され、ハイデッガーの実存哲学など現代思想にも、それと同じ傾向がみられるとの指摘がある。
プロティヌスは、新プラトン主義者。新プラトン主義によれば、世界は善にして一なる神が流出して出来たものであり、われわれが神を見るには、「神が神を見る」こと、すなわち私が神と一体化することによってしか認識されないという。ウルトラ・バロックは、キリスト教精神の究極を示す過剰な装飾に満ちた教会建築。
E・M・ラペルーザ『死海写本』(白水社文庫クセジュ)
エレーヌ・ペイゲルス『ナグ・ハマディ写本』(白水社)
プロティヌス『善なるもの一なるもの』(岩波文庫)
小野一郎ウルトラバロック』(新潮社・フォトミュゼ)

<井筒俊彦の作品>
コーラン』の訳者でもあるイスラム研究の第一人者。
『意識と本質』(岩波文庫)、『マホメット』(講談社学術文庫)、『ロシア的人間』(中公文庫)、『イスラム思想史』(中公文庫)、『イスラム生誕』(中公文庫)

<チベット密教関連>
『原典訳 チベット死者の書』(ちくま学芸文庫)
エヴァンス・ヴェンツ版(英訳からの重訳)『チベット死者の書』(講談社+α文庫)
 死者の書(バルド・トドル)として知られているものは、ニンマ派(古派)の経典。おおえまさのり訳は、エヴァンス・ヴェンツによる英訳からの重訳。エヴァンス・ヴェンツにはマダム・ブラバツキーによる神智学的な偏向が見られる。エヴァンス・ヴェンツによる英訳は、心理学者ユングに影響を与える。 
ゲルク派版 チベット死者の書』(学研M文庫、平岡宏一訳)
ダライ・ラマ14世も属するゲルク派(新派)の経典。ダライ・ラマゲルク派に属すると同時に、ニンマ派サキャ派カギュ派ゲルク派からなるチベット密教全体の精神的指導者。
ティモシー・リアリーチベット死者の書 サイケデリツク・ヴァージョン』(八幡書店)
 ニンマ派のバルド・トドルのドラッグ・カルチャー的視点からの解釈。
ナムカイ・ノルブ『虹と水晶』(法蔵館)
ナムカイ・ノルブ『ゾクチェンの教え』(地湧社)
ナムカイ・ノルブ『夢の修行』(法蔵館)
ナムカイ・ノルブ『チベット密教の瞑想法』(法蔵館)
 ナムカイ・ノルブはニンマ派
ラマ・ケツン・サンポ『知恵の遥かな頂』(角川書店中沢新一訳)
 ラマ・ケツン・サンポ・リンポチェの自伝。
『ユトク伝 チベット医学の教えと伝説』(岩波文庫)
 チベット医学の祖でもある賢者の教え。 
『サキャ格言集』(岩波文庫
エヴァ・ヴァン・ダム『チベットの聖者ミラレパ』(法蔵館中沢新一訳)
 ミラレパは、チベット密教カギュ派の聖者。
正木晃・立川武蔵チベット密教の神秘』(学研)
 サキャ派について詳しい。
フジタ・ヴァンテ編『チベット生と死の文化』(東京美術
ロバート・A・F・サーマン『現代人のための「チベット死者の書」』(朝日新聞社
ソギャル・リンポチェ『チベットの生と死の書』(講談社
フィリップ・ローソン『聖なるチベット』(平凡社イメージの博物誌25)
ダライ・ラマ14世『ダライ・ラマの仏教入門』(光文社)
ダライ・ラマ14世『ダライ・ラマ密教入門』(光文社)
ダライ・ラマ14世『宇宙のダルマ』(角川書店
ツルティム・アリオーネ智慧の女たち』(春秋社)
おおえまさのり編『チベットの偉大なヨーギ ミラレパ』(めるくまーる社)


◆心理学・精神分析学関係

<ジーグムント・フロイトの作品>
精神分析の祖。潜在意識(無意識)を発見。神経症(ノイローゼ)の原因として、性的衝動の抑圧があるとした。また、幼年期のトラウマが、精神障害の原因となりうることも指摘した。
また、人間にはエロスの欲動だけでなく、タナトス(死)への欲動もあるとした。
彼の説は、シュルレアリスムや<意識の流れ>派、ロレンスらの文学にも影響を及ぼした。
彼の精神分析は、ジャック・ラカンに受け継がれることになる。
精神分析入門』(新潮文庫・全2冊)、『夢判断』(新潮文庫・全2冊)、『自我論集』、『エロス論集』、『モーセ一神教』(ちくま学芸文庫)、『日常生活における精神病理』(岩波文庫)、『砂男・不気味なもの』(河出文庫・ホフマンの小説とフロイトの論文)、『文学と精神分析【グラディヴァ】』(角川文庫・イェンゼンの小説とフロイトの論文)、『性と愛情の心理』(角川文庫)

<カール・グスタフユングの作品>
ユングは①外向性・内向性の区別を行い、②フロイトの潜在意識とは別に人間には超越的・宗教的次元があるとして、チベット死者の書グノーシス派の文献にも関心を示し、曼荼羅錬金術・UFOを心理学の立場から探求した。その立場は、日本では秋山さと子河合隼雄に受け継がれている。
『変容の象徴』(ちくま学芸文庫・全2冊)、『空飛ぶ円盤』(ちくま学芸文庫

<ウィリヘルム・ライヒの作品>
フロイト左派のライヒは、①性格分析で、神経症の病のひとは性格の鎧を着ており、筋肉もこわばっていると指摘し、②マルクス主義に接近し、ファシズムの原因を、心理的な抑圧にあるとし、フロイト派からもマルクス主義陣営からも糾弾され、③オルゴンボックスをつくり、生命エネルギーであるオルゴンを封じ込めることが出来たと発表し、オルゴンを使ったクラウドバスターなる兵器を開発し、天候を変えたり、UFOを撃退したりできるといってアメリカ保険局にオルゴンボックスを回収され、その著作のすべてを焼かれた人物。
『性の革命』(角川文庫・絶版)、『セクシュアル・レヴォリーション』(現代思潮社・絶版)、『ファシズムの大衆心理』(せりか書房)、『オルガスムの機能』(太平出版社)

<岸田秀の作品>
岸田秀は唯幻論を提唱し、人間を本能のこわれた動物と規定する。
『ものぐさ精神分析』(中公文庫)、『幻想を語る』(河出文庫・全2冊)


アメリカン・サイケデリック・カルチャー関係 ビート族・ヒッピームーブメント含む

ティモシー・リアリーの作品>
LSDの研究でハーバードを追われた天才心理学者。彼の研究によると、LSDは生後の学習による条件付けを白紙にし、リプリントを可能にする。これはCIAが後に独占したように洗脳にも応用できるし、ティムの考えたように人間を解放することにも利用できる。彼は投獄と脱獄を繰り返し、その後関心はアシッドから、電子的ハイに向かうようになる。なお、ティムもまたCDをいくつか出している。
『神経政治学』(トレヴィル)、『フラッシュ・バックス』(リブロ・ポート)、『大気圏外進化論』(リブロポート)、『チベット死者の書サイケデリック・ヴァージョン]』(八幡書店)、『バルド・トドル[CDブック]』(八幡書店)、『Right to Fly』(CD)

<ジョン・C・リリーの作品>  
アイソレーション・タンクを使った感覚遮断実験で、アルタード・ステイツを体験した異端科学者。イルカとの異種間コミュニケーションの研究でも有名。
『意識(サイクロン)の中心』(平河出版社)、『ECCO(CDブック)』(八幡書店)、『ジョン・C・リリー、生涯を語る』(フランシス・ジェフリーとの共著、ちくま学芸文庫

<ロバート・アントン・ウィルソンの作品>
元PLAYBOY誌の編集者であり、シリウス星とイルミナティーをめぐるオカルト陰謀史観を発表している。
『コズミック・トリガー』(八幡書店)、『サイケデリック神秘学』(ペヨトル工房・絶版)


サイエンス・フィクションアヴァンギャルド文学

フィリップ・K・ディックの作品>
P・K・ディックはサイエンス・フィクション(SF)作家であるが、本来主流文学で活躍したいという望みを持っていた作家である。晩年の『ヴァリス』連作は、その思弁性によって特筆すべき点を持っている。
パラレル・ワールドのアイデアを極限まで推し進め、リアリティーの基盤を崩壊させてゆく特徴を持っている。
映画『ブレードランナー』(アンドロイドは電気羊の夢を見るか)、『トータル・リコール』(記憶売ります)、『マイノリティー・リポート』は、ディックの原作からアイデアを得ている。
ヴァリス』(サンリオSF文庫・絶版/創元推理文庫)、『聖なる侵入』(サンリオSF文庫・絶版/創元推理文庫)、『ティモシー・アーチャーの転生』(サンリオSF文庫・絶版/創元推理文庫)、『アルベマス』(サンリオSF文庫・絶版)、『流れよわが涙、と警官は言った』(サンリオSF文庫・絶版/創元推理文庫)、『暗闇のスキャナー』(サンリオSF文庫・絶版)、『アルファ系衛星の氏族たち』(サンリオSF文庫・絶版)、『虚空の眼』(サンリオSF文庫・絶版/創元推理文庫)、『時は乱れて』(サンリオSF文庫・絶版)、『死の迷宮』(サンリオSF文庫・絶版)、『怒りの神(ゼラズニイとの共著)』(サンリオSF文庫・絶版)、『銀河の壺直し』(サンリオSF文庫・絶版)、『最後から二番目の真実』(サンリオSF文庫・絶版)、『ザップ・ガン』(サンリオSF文庫・絶版)、『あなたを合成します』(サンリオSF文庫・絶版)、『ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック I・II』(サンリオSF文庫・絶版)、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(早川書房)、『ユービック』
(早川文庫)、『高い城の男』(早川文庫)、『ラスト・テスタメント~P・K・デッック最後の聖訓』(ペヨトル工房、絶版)、『P・K・ディック我が生涯の弁明』(アスペクト

スタニスワフ・レムの作品>
ポーランド領ルヴフ生まれのSF作家。哲学・社会学サイバネティックス・物理学・天文学など幅広い関心をもとに、思弁性あふれる作品や娯楽性に富む作品を書いた東欧の巨匠。
ソラリスの陽のもとに』(早川文庫)、『枯草熱』、『天の声』(サンリオSF文庫)

アンナ・カヴァンの作品>
カフカの影響を受けた作品群であり、とりわけ『氷』はインナー・スペースを探求してきたニュー・ウェーブSFのひとつの終着点を示している。アンナ・カヴァンはヘロインで死んだ。他に「アサイラム・ピース」などの作品がある。
『愛の渇き』、『ジュリアとバズーカ』、『氷』(サンリオSF文庫・絶版)

J・G・バラードの作品>
イギリスのニュー・ウェーブSFの第一人者。ニュー・ウェーヴSFは、インナー・スペースの探求に向かう傾向がある。
『クラッシュ』はディヴッド・クローネンバーグによって映画化された。
『クラッシュ』(ペヨトル工房・絶版)、『ヴァーミリオン・サンズ』(早川文庫)、『結晶世界』(早川書房

デイヴィッド・リンゼイの作品>
ニーチェショーペンハウエルベーメスウェーデンベルグを耽読し、超越への扉を模索。その圧倒的なイマジネーションは、読むものを圧倒させずにはいられない。代表作『アルクトゥールスへの旅』は、コリン・ウィルソンをして20世紀の最も優れた本と言わしめた。
アルクトゥールスへの旅』、『憑かれた女』(サンリオSF文庫・絶版)

トマス・ピンチョンの作品>

ピンチョンは、フォークナーに続く現代アメリカ文学のビッグネーム。代表作『V』、『重力の虹』、『ヴァイン・ランド』。『競売ナンバー49の叫び』は、当初寺山修司の翻訳予定だったが、実際は志村正雄訳となった。
『競売ナンバー49の叫び』(サンリオ文庫)、『スロー・ラナー』(ちくま文庫)

<ジェームス・ジョイスの作品>

アイルランド文学。『フィネガンズ・ウェイク』は、一冊の本に、人類史に現れた思念を封じ込める超濃縮文学。
『ダブリン市民』(新潮文庫)、『若き芸術家の肖像』(新潮文庫)、『ユリシーズ』(河出書房・全2巻・絶版)、『フェネガンズ・ウェイク I II、III IV』(河出書房新社

  
実存主義関連 一部現象学

フリードリヒ・ニーチェの作品>
フリードリヒ・ニーチェツァラトゥストラで「神の死」を宣言。ハンマーを持って哲学することで、現代思想への道を開いた。彼は、キリスト教の隷属的なモラルに弱さのニヒリズムを見て、そこにルサンチマンが隠されているとした。彼の説く道は、永劫回帰の中で、何度でも不条理な生を受け入れる超人の道であった。
主な作品に、『悲劇の誕生』、『人間的な、あまりに人間的な』、『曙光』、『華やぐ知識』、『善悪の彼岸』、『道徳の系譜』、『ツァラトゥストラかく語りき』、『この人を見よ』がある。
フリードリヒ・ニーチェ全集(ちくま学芸文庫・全15巻)

セーレン・キルケゴールの作品>
ニーチェとは正反対に、ひとりのキリスト者として、ヘーゲルの体系や、世俗と闘った。その「単独者」としての生き方は、実存主義への道を開いた。
死に至る病』(岩波文庫)、『不安の概念』(岩波文庫)、『現代の批判』(岩波文庫)、『誘惑者の日記』(ちくま学芸文庫)、『愛について』(新潮文庫)、『反復』(岩波文庫

<カール・ヤスパースの作品>
キリスト教的な実存哲学を提唱。限界状況を乗り越えることで、人間は「人間になる」とした。彼のヴィジョンでは、人間は挫折を通じて成長するので、哲学においてもカントの切り開いた意識一般から、ヘーゲルの絶対精神、そして実存のレベルへと成長してきたという。理性への信頼と、「愛の闘い」というコミュニケーションの重視が、彼の特徴。『哲学入門』(新潮文庫)、『ニーチェの生活』(新潮文庫・絶版)、『実存哲学』(理想社)、『理性と実存』(理想社)、『現代の精神的状況』(理想社

マルティンハイデッガーの作品>
基礎的存在論の構築のために、<ある>ということをぼんやりと把握している現存在(人間)に注目し、フッサール現象学を適用し、解明を図り、20世紀最大の哲学者と呼ばれるようになった。ただし、ユダヤ系であった師フッサールを冷遇したという。
存在と時間』(岩波文庫ちくま学芸文庫/中公バックス)、『ヒューマニズムについて』(角川文庫)、『ニーチェI・II』(平凡社ライブラリー)

ジャン=ポール・サルトルの作品>
『ル・タン・モデルヌ』誌を主催し、無神論実存主義グループをリード。その活動は小説・劇作・政治評論・美術批評等に及んだ。デュクロ事件を契機に「共産主義者と平和」を発表、マルクス陣営に接近。カミュ、そしてメルロ=ポンティとの論争を経て、『弁証法的理性批判』でマルクス主義に寄生するイデオロギーとして実存主義を位置づける。その後、マオイストのピエール・ヴィクトール(ペニィ・レヴィ)との交流を通じ、既成左翼勢力の左に向かう。
『哲学論文集』(人文書院)、『想像力の問題(イマジネール)』(人文書院)、『嘔吐』(人文書院)、『存在と無I・II・III』(人文書院)、『実存主義とはなにか』(人文書院)、『水いらず』(新潮文庫)、『マラルメ論』(ちくま学芸文庫)、『聖ジュネ』(新潮文庫・全2冊・絶版)、『悪魔と神』(新潮文庫・絶版)、『方法の問題』(人文書院)、『弁証法的理性批判I・II・III』(人文書院)、『アルトナの幽閉者』(人文書院)、『言葉』(人文書院)、『シチュアシオン』(人文書院)、『反逆は正しい』(人文書院・対談集)

アルベール・カミュの作品>
不条理と反抗の作家。レジスタンスでは『闘争』誌の編集者として活躍。個人的美徳としての神を拒否するムルソーを描く『異邦人』で衝撃デビュー。当初サルトルの「『異邦人』解説」で、サルトルのグループの同伴者とみられたが、マルクス主義は歴史を神格化し、殺人を正当化する理論であると主張する『反抗的人間』をめぐる論争で、サルトルと道を分かつ。ノーベル賞受賞後、『最初の人間』を完成前に、交通事故死する。
『異邦人』(新潮文庫)、『シーシュポスの神話』(新潮文庫矢内原伊作訳『シジフォスの神話』新潮文庫・絶版もあり)、『カリギュラ・誤解』(新潮文庫)、『ペスト』(新潮文庫)、『反抗的人間』(新潮社・カミュ全集・絶版)、『革命か反抗か』(新潮文庫サルトルおよびジャンソンとの論争記録)、『転落・追放と王国』(新潮文庫)、『幸福な死』(新潮文庫)『直観』(新潮社)、『アメリカ・南米紀行』(新潮社)、『手帖[全]』(新潮社)、『太陽の讃歌~カミュの手帖(1)』(新潮文庫・絶版)、『反抗の論理~カミュの手帖(2)』(新潮文庫・絶版)、『ギロチン』(紀伊國屋書店・絶版)、『不条理と反抗』(人文書院)、『スウェーデンの演説』(木内孝訳・神無書房・絶版)、『自由の証人』(新潮社・絶版)、『アクチュアル[時事論集] II』(新潮社・絶版)

シモーヌ・ド・ボーヴォワールの作品>
サルトルの良き伴侶であり、実存主義フェミニズムの論客。「女は女に生まれない。女になるのだ。」と主張する。
人間について』(新潮文庫・絶版)、『他人の血』(新潮文庫・絶版)、『招かれた女』(新潮文庫・絶版)、『人はすべて死す』( 岩波文庫・絶版・全2冊)、『第二の性』(新潮文庫)、『別れの儀式
(人文書院)

<モーリス・メルロ=ポンティの作品>
後期フッサールの影響を受け、心影肢などをもとに心身二元論を批判する独自の身体論を構築。サルトルとともに『ル・タン・モデルヌ』誌グループを形成。『ヒューマニズムとテロル』でサルトルより先にマルクス主義に接近。その後、サルトル弁証法を喪ったウルトラ・ボルジェヴィズムとして批判し、非共産主義的左翼を表明する『弁証法の冒険』を発表する。
『行動の構造』(みすず書房)、『知覚の現象学1・2』(みすず書房)、『ヒューマニズムとテロル』(現代思潮社)、『弁証法の冒険』(みすず書房)、『意味と無意味』(みすず書房)、『眼と精神』(みすず書房)

ポール・ニザンの作品>
サルトルの親友であり、共産党に入党したが、若くしてこの世を去った。サルトルアンガージュマン(政治参加)の思想には、この友人の死が影をおとしている。
『アントワーヌ・ブロワイエ』、『陰謀』(角川文庫)、『アデン・アラビア』(晶文社

フランツ・カフカの作品>
実存主義文学の先駆者。不可解な官僚機構の迷路の中で翻弄される人間や、何かに変身することで、社会的に棄てられる人間を描く。
アメリカ(失踪者)』(角川文庫)、『城』(新潮文庫)、『審判』(ちくま文庫)、『変身 他』(新潮文庫)、『ある流刑地の話』(角川文庫)

ジャン・ジュネの作品>
男娼と泥棒を繰り返し、ラシーヌのような見事なフランス語で犯罪を挑発するような作品を書き、コクトーサルトルらの嘆願で恩赦となった特異な作家である。パレスチナ解放戦線に関与し、『恋の捕囚』を書く。その文学はサルトルデリダに影響を与えた。
泥棒日記』(新潮文庫)、『花のノートルダム』、『薔薇の奇跡』、『黒んぼたち・女中たち』(新潮文庫・絶版)、『ブレストの乱暴者』、『葬儀』(以上、河出文庫

シモーヌ・ヴェイユの作品>
赤い処女シモーヌ。彼女の徹底したキリスト者としての自己犠牲の精神は、既成の制度としてのカトリックを認容できなかったし、そのマルクス主義ソ連の権力的な体制も認容できなかった。
『工場日記』(講談社文庫・絶版)、『哲学講義』(ちくま学芸文庫)、『重力と恩寵』(ちくま学芸文庫)、『自由と社会的抑圧』(岩波文庫

<フョードル・ミハイロヴィッチドストエフスキーの作品>
実存主義文学の先駆として、シェフトフや埴谷雄高らに深刻な影響を与えた。『地下室の手記』は自意識過剰のひきこもりの話だし、『悪霊』は無神論的革命思想に憑かれた人々がテロリズムに走る話だし、『カラマーゾフの兄弟』は権力と自由をめぐる徹底的な思考が凝縮された作品。
地下室の手記』(新潮文庫)、『罪と罰』(新潮文庫・全2冊)『悪霊』(新潮文庫・全2冊)、『白痴』(新潮文庫・全2冊)、『カラマーゾフの兄弟』(新潮文庫・全3冊)、『作家の日記(全5冊)』(岩波文庫)、『虐げられた人々』(角川文庫)

ヴィクトール・フランクルの作品>
フランクルはロゴテラピーという心理療法を唱えた実存主義系の心理学者。
『夜と霧』は、新訳が出たが、ナチスの犯罪行為を示す残虐極まりない写真(そこには死体の皮膚でつくったランプシェードのかさも含まれる)が巻末についた旧版を推薦したい。
『夜と霧』(みすず書房)、『精神医学的人間像』(みすず書房)


構造主義関連

クロード・レヴィ=ストロースの作品>
文化人類学者。ソシュール言語学を応用し、構造人類学を提唱し、『野生の思考』において、サルトルの『弁証法的理性批判』を撃破し、構造主義の道を開いた。自民族中心主義(エスノセントリズム)批判を展開する。
『悲しき南回帰線』(講談社文庫・絶版/中公バックス「マリノフスキー・レヴィ=ストロース」に『悲しき熱帯』が収録されている)、『今日のトーテミスム』(みすず書房)、『野生の思考(パンセ・ソヴァージュ)』(みすず書房

ミシェル・フーコーの作品>
『言葉と物』で、各時代の人文諸科学は、その時代のエピステーメーに規定されているとして、通時的な歴史観マルクス主義等)を否定し、共時的エピステーメーの断絶的な層が積み重なっているという歴史観を主張し、その結論として人文諸科学における「人間の死」を予告した。また、アナール学派にも通じる歴史に埋もれた膨大な文書を基に、知による狂気や社会的逸脱行為の囲い込みを暴き、『監獄の誕生』ではパノプティコンをめぐって監視による効率的な権力の機能を明らかにした。
『狂気の歴史』(新潮社)、『言葉と物』(新潮社)、『言語表現の秩序』(河出書房新社)、『監獄の誕生』(新潮社)『性の歴史 I知への意志 II快楽の活用 III自己への配慮』(新潮社)、『自己のテクノロジー』(岩波現代文庫・共著)、『外の思考』(朝日出版社・絶版)、『哲学の舞台』(朝日出版社・絶版)、『精神疾患とパーソナリティ』、『フーコー・コレクション』(ちくま学芸文庫)

ジャック・ラカンの作品>
フロイトへの回帰」を主張し、ラカン派といわれる精神分析の学派を形成。人間の主体が「鏡像段階」を経て形成される過程を明らかにした。彼の動的な構造概念は、いわゆる構造主義のリミットを成している。
『エクリI・II・III』(弘文堂)、『二人であることの病い』(朝日出版社)、『家族複合』(哲学書房)

ルイ・アルチュセールの作品>
マルクスの読解に、ラカンの「構造」概念を導入。初期の疎外論を軸にしたヒューマニスティックなマルクスと、後期の科学的な「構造」概念を使用するマルクスには、理論的な断絶があると主張し、初期マルクスを基にする実存主義マルクス主義や修正主義的マルクス主義を批判した。晩年、独自のイデオロギー装置(AIE)論を発表するが、狂気に陥り、妻を絞殺する。しかし、狂気のなかにあっても不確定な唯物論の探求は進められていた。
『甦るマルクス』(人文書院/平凡社ライブラリー)、『資本論を読む』(合同出版/ちくま学芸文庫

ロラン・バルトの作品>
カミュの『異邦人』に白いエクリチュールをみる『零度のエクリチュール』。作者の実生活や時代背景に還元するのではなく、テクストそのものに向かい、多種多様な読解の戯れに喜びを見出す『テクストの快楽』。パラフィンに包まれ、銀色に輝いた表紙で、緑のカーテンが美しい『明るい部屋』の初版本。
『零度のエクリチュール』、『テクストの快楽』、『明るい部屋』(以上、みすず書房)、『エッフェル塔』、『ロラン・バルト映画論集』、『表徴の帝国』、『エクリチュールの零度』(以上、ちくま学芸文庫

<マルセル・グリオールの作品>
レヴィ=ストロース構造人類学の先駆であり、西アフリカのドゴン族のコスモロジーを明らかにする民族学の書。
『水の神』(せりか書房)


ポスト構造主義関連

ジャック・デリダの作品>
音声文字中心主義とロゴス中心主義による<体系>を脱構築ディコンストラクション)して、差異にみちた世界に開く作品群。
『根源の彼方に~グラマトロジーについて』(現代思潮社・全2巻)、『エクリチュールと差異』(法政大学出版局・全2巻)、『ポジシオン』(青土社)、『尖筆とエクリチュール』(朝日出版社・絶版)、『言葉にのって』、『死を与える』、『パピエ・マシン』、『声と現象』、『雄羊』(ちくま学芸文庫

ジュリア・クリステヴァの作品>
クリステヴァは<異邦の女>としてフランス思想界に登場し、記号分析学を唱え、記号の生成を間テクスト性の観点から捉え、記号論の解体者となった。そして、中国を旅行し、そこにル・サンボリツクとル・セミオティックのせめぎあいを見た。その後、精神分析医としての実践を通じ、主体の生成にかかわるおぞましきものへの棄却を発見する。
セメイオチケ I記号の解体学 II記号の生成論』(せりか書房)、『中国の女たち』(せりか書房)、『詩的言語の革命』(勁草書房)、『恐怖の権力』(法政大学出版局)、『記号の横断』(せりか書房

<フィリップ・ソレルスの作品>
『テル・ケル』グループの中心人物。マオイズムやユダヤ教への接近など、スキャンダルでアヴァンギャルドな実験を文学と思想分野で展開。
『女たち』(せりか書房)、『遊び人の肖像』(毎日新聞社)、『例外の理論』(せりか書房

<ポール・ヴィリリオの作品>
戦争とメディアをめぐるディスクールは、ドゥルーズ=ガタリの戦争機械論に影響を及ぼした。また、浅田彰のTVプログラム「録画チャンネル4・5」に出演したほか(この模様は『GS・楽しい知識』5W電視進化論に収録されている。)
浅田彰監修のNHK「事故の博物館」の製作にも全面協力した。
『純粋戦争(シルヴェール・ロトランジェとの共著)』(UPU)、『戦争と映画~知覚の兵站術』、『速度と政治~地政学から時政学へ』(平凡社ライブラリー

<ジャン・フランソワ・リオタールの作品>
現象学の研究者であったが、「社会主義か野蛮か」誌などを通じ、フロイトマルクスからの「漂流」を主張、リビドー経済を説く。「大きな物語」の終焉と、無数の「小さな物語」からなるポストモダンの始まりを告知する。
『子供たちに語るポストモダン』(ちくま学芸文庫)

ジャン・ボードリヤールの作品>
ソシュールアナグラム理論とバタイユの消費経済学をもとに、マルクス主義の生産中心主義を批判し、経済学の死と、現代社会の「モノの生産」から「記号の消費」への比重の変化を指摘。
『象徴交換と死』(ちくま学芸文庫)

<ジョルジュ・デュメジルの作品>
神話学者。ドゥルーズ=ガタリの戦争機械論に影響を与えた。
デュメジル・コレクション』(ちくま学芸文庫

毛沢東の作品>

毛沢東についていえば、文化大革命をめぐる問題点が多いが、アンディ・ウォホールの絵となり、ジャン・リュック・ゴダールに『東風』を撮らせ、ソレルスらのテル・ケル派に影響を与えた点で、特別にあげる。
毛沢東語録』(角川文庫)

 
現代日本文学の名著

埴谷雄高の作品>
『死霊』(講談社文芸文庫)、『ドストエフスキー』(NHKブックス)

椎名麟三の作品>
『永遠なる序章・懲役人の告発』(新潮社・新潮現代文学)、『永遠なる序章』、『自由の彼方で』、『美しい女』、『重き流れの中に』(以上、新潮文庫)、『神の道化師・媒酌人』、『自由の彼方で』(講談社文芸文庫

安部公房の作品>
『壁~S・カルマ氏の犯罪』、『第四間氷期』、『他人の顔』、『無関係な死・時の崖』、『夢の逃亡』、『飢餓同盟』、『幽霊はここにいる・どれい狩り』、『けものたちは故郷をめざす』『終わりし道の標べに(冬樹社版)』、『水中都市・デンドロカカリヤ』、『砂の女』、『燃え尽きた地図』、『人間そっくり』、『箱男』、『笑う月』、『密会』、『カーブの向こう・ユープケチャ』、『箱舟さくら丸』、『死に急ぐ鯨たち』、『カンガルー・ノート』(以上、新潮文庫)、『榎本武揚』、『反劇的人間』、『内なる辺境』(以上、中公文庫)、『終わりし道の標べに(真美善社版)』、『砂漠の思想』(以上、講談社文芸文庫

大江健三郎の作品>
『死者の奢り・飼育』、『われらの時代』、『性的人間』、『日常生活の冒険』、『われらの狂気を、生き延びる道を教えよ』、『個人的な体験』、『ピンチランナー調書』、『洪水はわが魂に及び』(全2巻)、『同時代ゲーム』、『「雨の木」を聴く女たち』、『小説のたくらみ、知のたのしみ』、『人生の親戚』、『燃え上がる緑の樹 第一部「救い主」が殴られるまで、第二部揺れ動く(ヴァシレーション)、第三部大いなる日に』(全3巻)(以上、新潮文庫)、『新しい人よ眼ざめよ』、『宙返り』(全2巻)(以上、講談社文庫)、『万延元年のフットボール』、『懐かしい年への手紙』、『「最後の小説」』『静かな生活』(講談社文芸文庫)、『厳粛な綱渡り』(文春文庫・全2冊・絶版)

<日夏耿之介の作品>
日夏耿之介詩集』(新潮文庫)、『吸血妖魅考(M・サマーズの翻訳と日夏のエッセイの合本)』、『サバト恠異帖』(以上、ちくま学芸文庫

澁澤龍彦の作品>
『サド復活』(ハルキ文庫)、『東西不思議物語』、『異端の肖像』、『幻想博物誌』、『毒薬の手帖』、『秘密結社の手帖』、『妖人奇人館』、『夢の宇宙誌』、『胡桃の中の世界』、『思考の紋章学』、『黄金時代』、『幻想の肖像』、『ヨーロッパの乳房』、『神聖受胎』、『スクリーンの夢魔』、『幻想の彼方へ』、『ドラコニア綺譚集』、『華やかな食物誌』、『エロスの解剖』、『狐のだんぶくろ~わたしの少年時代』、『暗黒のメルヘン(編)』、『洞窟の偶像』、『滞欧日記』、『言葉の標本
函・夢のかたち』、『言葉の標本函・オブジェを求めて』、『言葉の標本函・天使から怪物まで』、『悪魔の中世』、『城~夢と現実のモニュメント』、『旅のモザイク』、『記憶の遠近法』、『唐草物語』、『ねむり姫』、『私のプリニウス』、『エロティシズム(編・2冊)』『ふらんす怪談(H・トロワイア)』、『ポトマック(ジャン・コクトー)』、『長靴をはいた猫(シャルル・ペロー)』、『三島あるいは虚空のヴイジョン(マルグリット・ユルスナール)』、『新版遊びの百科全書4玩具館(矢牧健太郎との共著)』、『幸福は永遠に女だけのもの』、『太陽王と月の王』(以上、河出文庫)、『犬狼都市(キュノポリス)』、『マルジナリア』、『エピクロスの肋骨』、『大股びらき(ジャン・コクトー)』(以上、福武文庫)、『偏愛的作家論』、『うつろ舟』(福武文庫/河出文庫)、『詩画集 男と女(ヴェルレーヌ詩、澁澤訳、池田満寿夫画)』(角川文庫)、『O嬢の物語(P・レアージュ)』(角川文庫/河出文庫)、『フローラ逍遥』(平凡社ライブラリー)、『魔術(フランシス・キング)』(平凡社)、『悪魔のいる文学史』、『サド侯爵の生涯』、『エロティシズム』、『三島由紀夫おぼえがき』、『少女コレクション序説』、『美神の館(ビアズレー)』(中公文庫)、『女のエピソード』(大和文庫/河出文庫)、『高丘親王航海記』、『快楽主義の哲学』(以上、文春文庫)、『都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト』、『魔法のランプ』、『変身のロマン』(以上、学研M文庫)、『サド裁判 上・下』(現代思潮社)、『怪奇小説傑作集4(アポリネール他)』(創元推理文庫)、『玩物草紙』(朝日文庫/中公文庫)、『天使たちの饗宴』(河出書房新社)、『血と薔薇(全3巻)』(天声出版/白順社/河出文庫)、『世界悪女物語』、『黒魔術の手帖』、『裸婦の中の裸婦(巖谷國士との共著)』(河出文庫/文春文庫)

種村季弘の作品>
『吸血鬼幻想』(河出文庫)、『アナクロニズム』(河出文庫)、『ぺてん師列伝』(河出文庫)、『悪魔礼拝』(河出文庫)、『詐欺師の楽園』(河出文庫)、『影法師の誘惑』(河出文庫)、『薔薇十字の魔法』(河出文庫)、『怪物の解剖学』(河出文庫)、『ドラキュラ ドラキュラ』(編訳)(河出文庫)、『錬金術とタロット』(ベルヌーリ著、訳)(河出文庫)、『毛皮を着たヴィーナス』(河出文庫)、『山師カリオストロの大冒険』(中公文庫)、『黒い錬金術』(白水社Uブックス)、『ナンセンス詩人の肖像』(ちくま学芸文庫)、『偽書作家列伝』、『澁澤さん家で午後五時にお茶を』(学研M文庫)、『贋物漫遊記』、『書物漫遊記』、『食物漫遊記』(ちくま文庫

稲垣足穂の作品>
一千一秒物語』(新潮文庫ちくま文庫)、『少年愛の美学』(角川文庫/河出文庫ちくま文庫)、『ヰタ・マキニカリス I II』、『弥勒』、『ヴァニラとマニラ』(河出文庫ちくま文庫)、『ヒコーキ野郎たち』、『宇宙論入門』、『A感覚とV感覚』、『天体嗜好症』、『彼等(they)』、『東京遁走曲』、『南方熊楠児談義』(以上、河出文庫)、『僕の”ユリーカ”』、『ライト兄弟に始まる』(ちくま
文庫)

夢野久作の作品>
ドグラ・マグラ』(講談社文庫、教養文庫、角川文庫)、『日本探偵小説全集4 小栗虫太郎集』(創元推理文庫)、『狂人は笑う』、『犬神博士』、『少女地獄』(角川文庫)、『ドグラ・マグラ幻戯』(東雅夫編・学研M文庫)、『爆弾太平記』、『悪魔祈祷書』、『死後の恋』、『氷の涯』(教養文庫)、『人間腸詰』(角川ホラー文庫

小栗虫太郎の作品>
黒死館殺人事件』、『白蟻』、『青い鷺』、『潜行艇「鷹の城」』、『紅毛傾城』(教養文庫)、『完全犯罪』(春陽文庫)、『怪奇探偵小説名作選6 小栗虫太郎集』(ちくま文庫)、『日本探偵小説全集6 小栗虫太郎集』(創元推理文庫)

日影丈吉の作品>
『かむなぎうた』、『猫の泉』、『内部の真実』、『ハイカラ右京探偵暦』(教養文庫

中井英夫の作品>
『黒鳥の旅もしくは幻想庭園』(潮出版社)、『虚無への供物』(講談社文庫)、『人形たちの夜』、『幻想博物館(とらんぷ譚1)』、『悪夢の骨牌(とらんぷ譚2)』、『人外境通信(とらんぷ譚3)』、『真珠母の匣(とらんぷ譚4)』(以上、講談社文庫)、『中井英夫全集』(創元推理文庫

岡本太郎の作品>

日本を代表するアヴァンギャルド芸術家であり、ジョルジュ・バタイユの盟友のひとり。彼の芸術は、抽象と具象の中間を行く。なぜならば、彼の芸術は、絶えず現実と格闘し、それを乗り越える生命讃歌にあったからである。彼は芸術はうまくあってはならない、美しくあってはならないと説くが、それは彼の芸術の本質が生命の完全燃焼にあったからである。彼がピカソの「アヴィニヨンの娘たち」を評価し、アフリカ芸術や縄文美術を再発見するのは、このような観点からである。
『画文集 挑む』、『今日の芸術』(講談社文庫)、『美の呪力』(新潮文庫

寺山修司の作品>
『戯曲 毛皮のマリー』、『戯曲 青森県のせむし男』、『対論 四角いジャングル』、『家出のすすめ』、『ポケットに名言を』、『書を捨てよ、町へ出よう』、『不思議図書館』、『幸福論~裏町人生版』、『誰か故郷を想わざる』、『さかさま世界史 怪物伝』、『さかさま世界史 英雄伝』、『花嫁化鳥』、『地球をしばらく止めてくれ ぼくはゆっくり映画を観たい』(以上、角川文庫)、『ぼくが狼だったころ』(文春文庫)、『寺山修司の仮面画報』(河出書房新社)、『天井桟敷新聞[全
縮刷版]』(UPLINK)、『寺山修司記念館 1・2』(テラヤマ・ワールド)

唐十郎の作品>
『戯曲 少女仮面』、『戯曲 盲導犬』、『戯曲 滝の白糸』、『戯曲 吸血姫』、『少女と右翼』、『戯曲 錬夢術』(以上、角川文庫)、『魔都の群袋』(潮文庫)、『佐川君からの手紙』(河出書房新社

荒俣宏の作品>
『ワタシnoイエ』、『二色人(ニイルヒト)の夜』、『新宿チャンスン』、『闇吹く夏』、『絶の島事件』(角川ホラー文庫)、『帝都物語1~12』、『帝都物語外伝 機関童子』、『ジンクス 恋愛・結婚篇』、『ギャンブル JinxII』、『地球暗黒記 I II III』(角川文庫)、『別世界通信』、『目玉と脳の大冒険』、『パラノイア創造史』、『ブックス・ビューティフルI II』、『大東亜科學綺譚』(以上、ちくま文
庫)、『図像探偵』(光文社文庫)、『ゑびす殺し』(徳間文庫)、『稀書自慢 紙の極楽』、『新編 帯をとくフクスケ』、『奇っ怪紳士録』、『レックス・ムンディ』(集英社)、『世界大博物図鑑』(平凡社・全5巻)、『異都発掘』、『日本妖怪巡礼団』、『怪物の友』、『風水先生』、『黄金伝説』、『増補版 図鑑の博物誌』、『神秘学マニア』、『南方に死す』、『日本仰天起源』、『漫画と人生』、『短編小説集』、『本朝幻想文学縁起』、『怪奇の国ニッポン』、『商神の教え』、『ブックライフ自由自在』、『白樺記』、『風水先生、レイラインを行く』、『バッドテイスト』、『エロトポリス』、『神々の物々交換』、『図像学入門』、『エキセントリック』(以上、集英社文庫)、『地球観光旅行』(角川書店)、『アラマタ図像館 1怪物 2解剖 3海底 4庭園 5エジプト 6花蝶』(小学館文庫)、『アメリカ怪談集』(河出文庫)、『大都会隠居術』(光文社文庫

江戸川乱歩の作品>

『黄金仮面』、『パノラマ島奇談』、『陰獣』、『吸血鬼』、『黒蜥蜴』、『一寸法師』、『影男』、『白髪鬼』、『三角館の恐怖』、『屋根裏の散歩者』(以上、角川文庫)、『化人幻戯』(角川ホラー文庫)、『探偵小説の「謎」』(教養文庫)、『群集の中のロビンソン』(河出文庫)、『怪奇四十面相・宇宙怪人』、『妖怪博士・青銅の魔人』、『湖畔亭事件』、『虫』、『屋根裏の散歩者』、『奇譚・獏の言葉』(以上、講談社江戸川乱歩文庫)、『日本推理作家協会賞受賞作全集7 幻影城』(双葉文庫)、『続・幻影城』(早川書房)、『江戸川乱歩全集』(光文社文庫

松浦理英子の作品>
『葬儀の日』(河出文庫)、『セバスチャン』(河出文庫)、『ナチュラル・ウーマン』(河出文庫)、『親指Pの修行時代』(河出文庫・全2巻)、『優しい去勢のために』(ちくま文庫)、『溺れる人生相談』(角川文庫)

雨宮処凛の作品>
『生き地獄天国』(太田出版)、『自殺のコスト』(太田出版)、『暴力恋愛』、『ともだち刑』、『戦場へ行こう!!』(講談社)、『アトピーの女王』(太田出版)、『悪の枢軸を訪ねて』(幻冬舎)、『EXIT』(新潮社)、『すごい生き方』(サンクチュアリ出版)、『バンギャル ア ゴーゴー』(講談社)、『生きさせろ!難民化する若者たち』(太田出版


現代日本思想の名著

廣松渉の作品>
物的世界観から、事的世界観へのパラダイム・シフトを推し進め、新しい存在論を打ち立てるとともに、『ドイツ・イデオロギー』を本来の形に復元し、唯物史観を再生させる方向を探求した。マルクス主義の再生の可能性があるとしたら、アルチュセールや廣松の試みの延長線上にしかない。
唯物史観の原像』(三一新書)、『新哲学入門』(岩波新書)、『哲学入門一歩手前』、『今こそマルクスを読み返す』(講談社現代新書)、『世界の共同主観的存在構造』、『生態史観と唯物史観』、『マルクス主義の地平』、『唯物史観と国家論』、『<近代の超克>論』(講談社学術文庫)、『エンゲルス論』(ちくま学芸文庫)、『哲学に何ができるか(五木寛之との対話)』(中公文庫)

吉本隆明の作品>
共同幻想・対幻想・自己幻想からなる孤高の幻想論を展開。文芸批評を軸に、大衆文化から政治情況まで論ずる。『改訂新版 心的現象論序説』、『改訂新版 共同幻想論』、『改訂新版 言語にとって美とは何か(全2冊)』、『相対幻論(栗本慎一郎との対談』)(以上、角川文庫)、『言葉からの触手』、『情況としての画像~高度資本主義下の[テレビ]』、『なぜ猫とつきあうのか』(以上、河出文庫)、『西行論』、『マチウ書試論・転向論』、『高村光太郎』、『吉本隆明初期詩集』(以上、講談社文芸文庫)、『悲劇の解読』、『源実朝』、『追悼私記』、『私の「戦争論」』(以上、ちくま文庫)、『書物の解体学』、『世界認識の方法』、『対談 日本の原像(梅原猛との対談)』、『ダーウィンを超えて(今西錦司との対談)』、『語りの海・吉本隆明1幻想として国家』、『語りの海・吉本隆明2古典とはなにか』、『語りの海・吉本隆明3新版・言葉という思想』、『言葉の沃野へ・書評集成(日本篇と海外篇の2冊)』(以上、中公文庫)、『空虚としての主題』、『マス・イメージ論』、『ハイ・イメージ論』(以上、福武文庫(I・II)/ちくま学芸文庫(I・II・III))、『源氏物語論』、『初期歌謡論』、『宮沢賢治』、『柳田国男丸山真男論』、『最後の親鸞』(ちくま学芸文庫)、『少年』、『超資本主義』(徳間文庫)、『吉本隆明歳時記』(廣済堂文庫)、『夜と女と毛沢東辺見庸との対談)』、『わが「転向」』(以上、文春文庫)、『いま吉本隆明25時』、『いま吉本隆明25時より 文学論 その他 I・II(カセットブック)』(弓立社)、『「反核」異論』(深夜叢書社)、『吉本隆明全集撰3政治思想』(大和書房)、『幻の王朝から現代都市へ』(河合ブックレット)、『社会党あるいは社会党的なるものの行方』(社会新報ブックレット16)、『吉本隆明の僕なら言うぞ !』(青春文庫)、『だいたいでいいじゃない』(大塚英志との共著、文春文庫)

山口昌男の作品>
文化人類学者。「中心-周縁」理論を展開。トリックスター論やスケープゴート論でも知られる。
『文化と両義性』、『天皇制の文化人類学』、『文化の詩学 I II』、『いじめの記号論』(以上、岩波現代文庫)、『知の遠近法』(岩波書店同時代ライブラリー)、『ミカドと世紀末~王権の論理(猪瀬直樹との対談)』(新潮文庫)、『道化の民俗学』(ちくま学芸文庫)、『道化的世界』、『笑いと逸脱』(以上、ちくま文庫)、『知の祝祭~文化における中心と周縁』(河出文庫)、『河童のコスモロジー』、『仕掛けとしての文化』(講談社学術文庫)、『本の神話学』、『歴史・祝祭・神話』(中公文庫)、『語りの宇宙』(青土社)、『アフリカの神話的世界』、『文化人類学への招待』、『知の旅への誘い(中村雄二郎との共著)』(以上、岩波新書

栗本慎一郎の作品>
ポランニー派の経済人類学者であり、バタイユの普遍経済学を導入した「過剰-蕩尽理論」を確立した。
『幻想としての経済』、『東京の血はどおーんと騒ぐ』(角川文庫)、『反文学論』、『大衆文化論~若者よ、目覚めるな』、『毒入り教授より愛をこめて~悪の眼、鷹の眼』(光文社文庫)、『縄文式頭脳革命』、『ニッポンの終焉』(講談社文庫)、『人間は思考する”金魚”である』(青春文庫)、『幻想としての文明』(講談社)、『法・社会・習俗』(同文館)、『光の都市、闇の都市』(青土社)、『現代思想批判~言語という神(小阪修平との対談)』(作品社)、『ホモ・パンツたちへ』(情報センター)、『俺たちはノイズだ(糸井重里との対談)』(冬樹社メディアボックス)、『パンツをはいたサル』、『都市は発狂する』、『鉄の処女(協力:笠井潔)』、『パンツを捨てるサル』、『パンツを脱いだロシア人』、『立ち腐れる日本(西部邁との対談)』、『さぁ、クルマで出かけよう』、『パンツをはいたサル、国会へ行く』、『殺し合いが「市民」を生んだ~栗本慎一郎「自由大学」講義録1いま「ヨーロッパ」が崩壊する・上』、『「野蛮」が「文明」を生んだ~栗本慎一郎「自由大学」講義録2いま「ヨーロッパ」が崩壊する・下』(以上、カッパサイエンス)、『反少女』(角川
書店)、『意味と生命』(青土社

蓮實重彦の作品>
フランス文学者。映画評論家。表象文化論ルプレザンタシオン批判を展開。一時期、草野進(くさのしん)という女性名義でプロ野球評論を展開。
『表層批評宣言』、『映画・誘惑のエクリチュール』、『反日本語論』(ちくま文庫)『監督 小津安二郎』、『凡庸な芸術家の肖像(全2巻)』、『映画の神話学』、『映像の詩学』(以上、ちくま学芸文庫)、『フーコードゥルーズデリダ』、『闘争のエチカ柄谷行人との対談)』、『小説から遠く離れて』、『陥没地帯~かんぼつちたい』、『文学批判序説~小説論=批評論』、『シネマの快楽(武満徹との対談)』(以上、河出文庫)、『夏目漱石論』(福武文庫)、『オールド・ファッション・普通の会話~東京ステーションホテルにて』、『映画千夜一夜淀川長治山田宏一との対談、全二冊)』、『傷だらけの映画史(山田宏一との対談)』(中公文庫)、『シネマの記憶装置』(フィルムアート社)、『世紀末のプロ野球(草野進、「どうしたって、プロ野球は面白い」改題)』(角川文庫)、『プロ野球批評宣言(草野進編)』(新潮文庫)、『読売巨人軍再建のための建白書(草野進・渡部直己)』(角川文庫)

柄谷行人の作品>
マルクスの価値形態論を記号論的に読解し、ゼロ記号批判により、ポスト構造主義と呼応する交通史観に道を開く。その後、ポストモダニズム批判や内省から始まる哲学を批判し、単独者として絶えずシステムの外に向けて思考を走らせ、『探求』では、システムにとっての絶対的な他者や固有名を問題にし、資本主義の対抗ガンとしてのアソシエーションを提唱する『トランスクリティーク』に至る。
マルクスその可能性の中心』(講談社文庫)、『意味という病』、『畏怖する人間』、『近代日本文学の起源』(以上、講談社文芸文庫)、『反文学論』、『隠喩としての建築』、『内省と遡行』、『探求 I・II』、『ヒューモアとしての唯物論』、『<戦前>の思考』、『終焉をめぐって』、『言葉と悲劇』(講談社学術文庫)、『批評とポストモダン』(福武文庫)、『トランスクリティーク』(批評空間)、『可能なるコミュニスム』、『NAM原理』、『NAM生成』(以上、太田出版)、『倫理21』(平凡社ライブラリー)

上野千鶴子の作品>
構造主義社会学を武器にしたマルクス主義フェミニズムの論客。
『セクシィ・ギャルの大研究』(カッパ・サイエンス)、『構造主義の冒険』(勁草書房)、『資本制と家事労働』(海鳴社)、『女遊び』(学陽書房)、『スカートの下の劇場』、『<人間>を超えて(中村雄二郎との往復書簡)』、『対話篇 性愛論』(以上、河出文庫)、『増補 <私>探しゲーム』(ちくま学芸文庫)、『ミッドナイト・コール』(朝日文庫

東浩紀の作品>
『批評空間』にてデビュー。『存在論的 郵便的 ジャック・デリダについて』において、存在論脱構築否定神学として退け、デリダの郵便的脱構築を評価。浅田彰の後継とされるが、その後『批評空間』グループを離反、サブカル批評や大塚英志に接近するなど独自の活動を行う。
存在論的 郵便的 ジャック・デリダについて』(新潮社)、『郵便的不安たち』(朝日新聞社)、『不過視なものの世界』(朝日新聞社)、『動物化するポストモダン』、『ゲーム的リアリズムの誕生』(講談社現代新書)、『郵便的不安たち ♯』(朝日文庫)、『網状言論F改』、『波状言論S改』、『コンテンツの思想』(青土社・共著)、『動物化する世界の中で』(集英社新書・共著)、『自由を考える 9・11以降の現代思想』、『東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム』(NHKブックス・共著)、『波状言論臨時増刊号 美少女ゲームの臨界点』、『「動物化するポストモダン」とその後』(東浩紀個人事務所)、『東浩紀コレクション 文学環境論集』(講談社BOX)

<大塚英志の作品>
白倉由美の『スウェード・キルシュ』などを送り出した元まんが編集者であるが、民俗学者であり、ボードリヤールの記号の消費を超え、「びっくりマンチョコ」の消費に物語消費を見る評論家であり、まんが原作とそのノベライズを数多く手がける実作者の顔を持ち、物語消費理論をもとにメディア・ミックスで「多重人格探偵サイコ」をヒットさせた。物語環境開発という会社は、大塚の率いるそのための実作者集団である。
『「彼女たち」の連合赤軍サブカルチャー戦後民主主義』、『定本 物語消費論』、『人身御供論~通過儀礼としての殺人』、『少女たちの「かわいい天皇」~サブカルチャー天皇論』(以上、角川文庫)、『りぼんの付録と乙女ちっくの時代』(ちくま文庫)、『教養としての<まんが・アニメ>(共著)』、『キャラクター小説の作り方』(講談社現代新書)、『物語の体操』(朝日文庫

 

今村仁司の作品>
アルチュセールを中心とする現代思想の研究で知られる。『排除の構造』では、独自の第三項排除説を主張。
『排除の構造』、『現代思想の系譜学』(以上、ちくま学芸文庫)、『アルチュセール』(清水書院)、『現代思想の基礎理論』、『現代思想の展開』、『アルチュセールの思想』(以上、講談社学術文庫)、『貨幣とは何だろうか』、『群集~モンスターの誕生』(ちくま新書)、『現代思想を読む事典(編著)』(講談社現代新書

丸山圭三郎の作品>
ソシュールアナグラム研究にインスパイアされ、独自の言語思想の構築に向かった。
『生命と過剰』(河出書房新社)、『言葉と無意識』、『言葉・狂気・エロス』(講談社現代新書)、『記号論批判~<非在>の根拠(竹田青嗣との対談)』(作品社)

伊藤俊治の作品>
写真論。表象文化論
『裸体の森へ』、『愛の衣裳』(ちくま文庫)、『20世紀写真史』、『ジオラマ論』、『新編ピンナップ・エイジ』(ちくま学芸文庫)、『倒錯(ビザール)(監修)』、『女神(フェティッシュ)(監修)』(以上、光文社文庫

岩井克人の作品>
不均衡動学(経済学)。
ヴェニスの商人資本論』、『資本主義を語る』、『貨幣論』(ちくま学芸文庫)

小谷真理の作品>
SF評論家。サイボーグ・フェミニスト
『女性状無意識』(勁草書房)、『聖母エヴァンゲリオン』(マガジンハウス)


◆自然科学

養老孟司の作品>
解剖学者養老孟司がプラスティネーションの人体模型(本物の死体をプラスティツクで固め、そのまま触れたり、スライスできるようにする手法)を紹介する。
『[図説]人体博物館』(筑摩書房・編)

<萩原博光・山本幸憲(写真 伊沢正名の作品>
粘菌の図鑑。
『日本変形菌類図鑑』(平凡社)

<ウンベルト・マトゥラーナ、フランシスコ・バレーラの作品>
生物学。以下の書物ではオートポイエーシスの原理を明快に示している。自己組織化をめぐって現代思想に影響を与えた。
『知恵の樹』(ちくま学芸文庫)