『ファウスト』Vol.4(講談社)本日発売

最近、9時から9時勤務が続いており、私生活がない状態に等しい私です。午後9時を過ぎると、たいていの書店は閉まってしまいますが、幸い朝の8時から開いている書店があり、発売開始日に『ファウスト』Vol.4を入手することができました。
今回の『ファウスト』Vol.4の目玉は、「文芸合宿! Live at『ファウスト』!!」です。これは、無人島で、乙一北山猛邦佐藤友哉滝本竜彦西尾維新が競作をするというものです。舞城王太郎は、これらの競作のAll Illustrationsを担当しています。つまり、依然、舞城王太郎は、覆面作家のままです。乙一北山猛邦佐藤友哉滝本竜彦については、今回無人島でのスナップ写真が載っています。西尾維新も、覆面作家です。ゲストで、東浩紀もこの島を訪れています。
第二特集は、「ミステリーのフロントライン」です。北山猛邦浦賀和宏舞城王太郎の新作が載っています。『メフィスト』で活躍する彼らの先輩作家は、ミステリーを彼らの作品の中心に据えていますが、若い作家になると、ミステリーの趣向は小説の愉しみのなかのひとつになっているかんじがします。
他に、滝本竜彦の「ECCO」、西尾維新の「新本格魔法少女りすか 魔法少女は目で殺す!」が載っています。ECCOというのは、ジョン・C・リリーですね。新本格魔法少女りすかの魔法は、クトゥルー系と儀礼魔術のちゃんぽんですね。
文芸評論は、東浩紀巽昌章。ちなみに、ここを「はてな出張所」としたのは、東浩紀の影響が大きいです。また、薔薇十字制作室の制作室は、森博嗣のHPを少し意識しています。竹本健治ファン倶楽部を思い立ったのは、森ぱふぇのせいです。これは蛇足でしたが。清涼院流水のコーナーがあるのも、いつものことです。ヤバ井でSHOWに、一般人の写真があまり載りませんね。応募すれば、載る可能性が高いかも知れません。絶対やばくない写真と、絶対やばい写真が採用されると思います。ちなみに、私は絶対やばくない写真ということで、あみぐるみの写真を投稿しました。(Vol.2)案の定、かなりやばいということにされました。
ところで、『ファウスト』は、文芸誌のなかで一番売れているそうです。(1)若手作家で揃え、次の時代を予感させる点、(2)新書サイズで、ノベルスより早く新作が読める、(3)ビジュアル面や、字体の面で、革新的であることなどが、勝因ではないかと思います。

』Vol.4 
ところで、角川書店から刊行されているムック本『新現実』は、創刊号で大塚英志東浩紀責任編集でしたが、次の号では大塚英志単独編集になっています。大塚の編集方針は、政治的な方向(戦時下の日本において進行中の改憲論に対して、戦後民主主義の後継者の立場から、再度憲法象徴天皇制などを捉えなおそうという方向)にあり、東の編集方針は、新しい文化潮流(文芸分野で言えば、清涼院以降)に注目しようというものでした。東浩紀責任編集の『新現実』は、次々号でも実現せず、大塚英志単独編集のまま『新現実』は突っ走ることになります。その代わり、東の基本コンセプトを実現するかたちで登場したのが、『メフィスト』の姉妹誌『ファウスト』であったと捉えることができるでしょう。無論、『ファウスト』は東浩紀は編集に関わっていませんが、『動物化するポストモダン2』の連載のみならず、今回の号でも文芸合宿にゲスト出演するなど、『ファウスト』の方向性を象徴する存在となっています。
今回、奈須きのこの作品がありません。仮に、東浩紀責任編集だとしたら、奈須の作品は批評の題材にはなっても、その作品を掲載することはないような気がします。(これはまったくの勘ですが。)
動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

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