ジャック・デリダ『パピエ・マシン 上』入手。

まだ読み始めたばかりで、たいしたことは言えないんだけれど……。
パピエ・マシンとは、ワードプロセッサー用の用紙のことを指し、ジャック・デリダはこの意味を拡大し、パピエ・マシンが示すある特異な配置に注目し、ポスト・グーテンベルグ時代のメディア論を展開しようとする。先行する哲学者、例えばハイデッガーは、手書きと機械による打ち込みに対し、人間/機械の二項対立を持ち出すが、デリダワードプロセッサーによる書法にも、手仕事の側面があるし、一方羽根ペンによる書法にも、テクネーに属する面があることを指摘する。デリダは、コンピュータによるカット&ペーストを評価するが、満足しているわけではない。なにかのテクストから切り取り、別のコンテクストに貼り付ける程度では、まだ散種には至らない。デリダベースというデータベースをつくるプロジェクトがあったという。ここには、デリダ関連のテクストが入っており、簡単な索引で自在に引き出すことができるという。デリダは、この方が面白いと考える。そうか。それならば、デリダ坂本龍一の「DECODE 20」(インプレス)をプレゼントすべきだった。これはCD-EXTRAであり、コンピュータに読み込ませると、起動は遅いが、質問を入れてやると、坂本龍一による回答が出てくるというものだ。デリダは、ワードプロセッサーによる書法の特徴として、速度に注目する。『パピエ・マシン』は、デリダの思考の癖が現れている。デリダは、加速度という暴力を用いて、意味の脱臼を行おうとしているのだ。