魂のこよみ

街は、完全にクリスマス・モードである。本屋さんに行くと、『ポーの一族』に贈り物にふさわしくリボンがつけられていた。
だが、今日紹介するのは、最もクリスマスの本義に沿った本である。
ルドルフ・シュタイナーによって書かれたこの本は、『魂のこよみ』というタイトルがついており、ページをめくるとシュタイナーによって書かれた水彩画がついている。

魂のこよみ (ちくま文庫)

魂のこよみ (ちくま文庫)

この本は、春から冬に至るまでの一年の流れを、詩的な言語で描いている。
その世界では、宇宙の動きが、生から死に至る人の一生と重ね合わせられ、さらに人の一生が、春夏秋冬の季節の流れと重ね合わせられる。
マクロコスモスとミクロコスモスがひとつに結びつき、一人の生き方が、巡りめぐる宇宙の円環的なリズムとリンクされるようになる。
ひとりであることは幻想であり、わたしの鼓動が宇宙のリズムになるのだ。
この本を読むと、シュタイナーが、ゲーテの正統な後継者であることがわかる。
『魂のこよみ』は、マクロコスモスとミクロコスモスを重ね合わせるための調律のための書である。
中沢新一レヴィ=ストロースによる『サンタクロースの秘密』によると、クリスマスの起源が古代からの冬祭りにあるという。
サンタクロースの秘密 (serica books)

サンタクロースの秘密 (serica books)

祝祭は、死と再生の象徴交換である。古代人は、時間を直線的に考えず、円環的に考えた。春に芽吹き、夏に大輪の華を咲かせ、秋に実りをもたらし、冬に枯れるようにみえても、生命はやがて再生を遂げる。再生を遂げるためには、古い生命は一旦、象徴レベルで死の経験を得る必要がある。そのための儀礼が、祝祭なのである。