薔薇十字の革命

美輪明宏の『人生・愛と美の法則』には、極めて悲惨な死を眼にしたことが語られている。
戦争中、女学生がセーラー服の下にお母さんが編んだ赤やピンクや黄色の肌着を着ていたことが、監督の男に見つけられ、ハサミでその肌着をじゃきじゃきに切られ、さらに髪を持って引きずられ、殴られ続け、一週間後に亡くなったこと。
さらには差別がもとで、結婚を家族に反対され、失意のうちに死んだ女性のはなし。
戦争やファシズム、古臭い因習に基ずく根拠のない差別、こういったものが、いかに人間性を圧殺するかを、美輪は語っている。
全体主義的統制や戦争を肯定する人々、あるいは本来等価であるはずの人間に対し、差別を持ち込む時代錯誤な人々、彼らが押し潰そうとするのは「愛」であり、「美」であると、美輪は語る。
私の結論。愛と美の革命が必要である。これ以上、悲惨な死はいらない。
愛と美を重視するのは、生のエチカ(倫理)であり、死のモラル(道徳)ではない。
折りしも、アメリカがイラクに殺人ロボットを投入したばかりの時代において、この単純で当たり前の宣言は、ポリティカルな意味合いすら帯びてくるだろう。