ジル・ドゥルーズ『感覚の論理 フランシス・ベーコン論』

ジル・ドゥルーズ『感覚の論理 フランシス・ベーコン論』(法政大学出版局)は、前半がドゥルーズの論考、後半がフランシス・ベーコンの画集となっている。
フランシス・ベーコンについては、 http://www.francis-bacon.cx/ が詳しい。
上記のサイトをみていただければわかるように、フランシス・ベーコンの絵画は、冷たい抽象に向かっていない。ドゥルーズは、絵画の方向性を抽象的形態(la forme abstraite)に向かうものと、形体(la Figure)に向かうものがあるとし、フランシス・ベーコンの絵画を形体(la Figure)という概念から解明しようとしている。
哲学と絵画の結びつきでは、モーリス・メルロ=ポンティセザンヌの関係が思い出される。セザンヌ静物画は、存在するということ自体を問題にしており、モーリス・メルロ=ポンティ現象学と深いところで共鳴したのである。
では、フランシス・ベーコンはどうか。彼の絵画は生成を問題にしており、<〜になること>を問題にしている。フランシス・ベーコンは、生命の流れや力を、ダイレクトに把握しようとしている。これはまた、ドゥルーズの問題群でもある。
というわけで、ジル・ドゥルーズのこの論考は、絵画論として、そして生命の論理を語った著作として読むことができるのである。

感覚の論理―画家フランシス・ベーコン論

感覚の論理―画家フランシス・ベーコン論