新訳 星の王子様

[以下は、ミクシィに投稿した原稿の再録です。]



倉橋由美子さんの最後の著作は『偏愛文学舘』(講談社)、翻訳ではアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著『新訳 星の王子様』(宝島社)となるようです。
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの『小さな王子』には、内藤濯訳『星の王子さま』(岩波書店)がありましたが、今年1月に著作権が切れる関係で、岩波書店の独占的翻訳権も消滅し、倉橋さんの訳以外にも、三野博司訳(論創社)、池澤夏樹訳(集英社)が刊行されるようです。
倉橋さんの文庫については、
http://www.geocities.jp/le_corps_sans_organes/page018.html
にまとめたことがありましたが、翻訳に関してはレオ・ブスカーリア著『クリスマス・ラブ  七つの物語』しか文庫化されていません。
シェル・シルヴァスタインの『ぼくを探しに』『続ぼくを探しに ビッグ・オーとの出会い』『屋根裏の明かり』『人間になりかけたライオン』『天に落ちる』、アンナ・レストレンジの『嵐が丘にかえる』が文庫化されていません。(シェル・シルヴァスタインの本は、あのサイズだからの良さがあるからかもしれません。)
また、エッセイ集も『わたしのなかのかれへ』と『迷路の旅人』が講談社文庫になった以外は、例えば『磁石にない旅』とか『最後から二番目の毒想』とかが文庫化されていません。(これに関しては、本人の文学観が関係しているのかもしれません。作家は、小説という無を売るのであって、実生活を切り売りするのは恥という考えがあり、自身のエッセイを雑文と呼んでいた人ですから。しかし、エッセイには、そのユニークな文学観が直に語られたものが多くあり、見落とすべきではないと思います。)
なお、単行本の装丁では、『城の中の城』とか『アマノン国往還記』とかが素敵でしたね。