山本麻里安 『風のにおい』について

風のにおい

風のにおい

 勿論、山本麻里安ちゃんのCDというと、聴けばカレカノの世界が甦る『Setsu Getsu Ka』(榎本温子&渡邊由紀&山本麻里安キングレコード)や、聴けば抱腹絶倒悶絶死間違いなしの『菜々子解体診書 CDスペシャル 歌う看護婦さん』(Pioneer LDC)や、パラエティに富んだプログラムで愉しい『MARIA TV』(first smile entertainment ltd.)とか、はたまたドン・マッコウさんとの『あつまれ、フェアリーアイランド』(TWOFIVE)とか……いろいろあるのだけれど、とっておきの楽曲というとワーナーミュージック・ジャパンから出た『みつあみ』と『風のにおい』ということになる。
 特に『風のにおい』は、上田知華「天使のチャイム」、財津和夫「大空の下で」、竹内まりや「もう一度」、大津美紀「恋なんて切ないよ」……と作詞・作曲家陣が充実していて、聴くものを絶対に満足させる一枚なのである。
 『みつあみ』と『風のにおい』は、山本麻里安ちゃんの原点であり、その後のマルチな活躍に繋がるキラキラした輝きがつまった作品といえる。そこには、まぎれもなくナチュラルで、春の若葉をあいだを吹き抜ける涼風のような魅力がある。
 『Dreamin'you』(Pioneer LDC)や『First Kiss』(purple hills record/avex marketing communications)を聴いた後で、たまには原点を振り返ってみるのも悪くない。『みつあみ』と『風のにおい』を聴いていた頃の記憶とともに、あのそよ風の匂いも想い出すはずだ。